三曲合奏《カレーライス》によるアラビアンな世界

先日、邦楽器の方々とご一緒した帰りに、面白い話を聞いた。

ある番組のテレビ収録の仕事で、《カレーライス》という曲があることを知ったというのだ。

この《カレーライス》という曲は伝統的な三味線、お箏、尺八から成る、三曲合奏の編成で20年前くらいに池上眞吾さんによって書かれた曲で、いかに日本国民にカレーが愛されているかということを歌われたものだ。

早速、私も気になり聞いてみた。

この伝統的な世界でこのような遊び心を持ち、作品を作られている方がいると知って胸踊った。

「ザ・古典」といった始まりだが、「カレーライス」「スパイス」

などのワードが出てくる。前半は三味線と箏のみの演奏だ。

その、前半の歌詞に

「召しませ、カレー」「ひとくち食わば、舌踊り~」

などと歌われる。

大真面目に独特のこぶしが効いているところが非常におもしろいのだが、なぜ、尺八に演奏させないのか?

ここで、問題になってくる、前半全く出番のない尺八奏者の扱いだ。

何かをさせるため、と解釈するのが妥当だ。

きっと、「カレーを食べさせるため」だ。

YouTubeに上がっている映像でも、実際に演奏中にカレーを食べて、そして、後半から尺八を吹くのだ。

ターバンを巻いた男がやってきて、カレーを尺八奏者の目の前に置き、尺八奏者が食す。

その後、すぐ尺八を吹き、アラビアンな世界へわたしたちを連れて行ってくれる。

実際に3人での演奏になって初めてアラビアンな音が聞こえてくる。

いろいろ楽器はカレーの油分に耐えられるのかとか、カレーの成分が入った息で高価な楽器を吹いて大丈夫かとか、心配になるが、非常にわたしたちを楽しませてくれる曲だ。

歌曲にもそんなのがあっていいと思う。

マシュマロを口いっぱいに詰め込み歌うとか、ビスケットの咀嚼音を利用するとか。

…練習だけで太ってしまいそうだが、食べる口実になって良いと、わたしは思う。

無性にカレーが食べたくなった。

今日はカレーを食べよう。

下層音楽家非同盟 いずみ

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